沖縄と暮らす

やちむんの “そもそも”、押さえておきませんか?〜種類豊富な東京のお店&ネットショップもご紹介〜

コロナ禍で「おうちごはん」が増えたことを実感している方は多いのではないかと思いますが、食卓関連アイテムもよく売れているようです。
やちむんをネット販売している幾つかのショップに伺ったところ、こちらも購入希望者が増えているのだとか。

やちむんは、作家それぞれの作風により趣きは千差万別で、柄や色使いも豊富。
自分の好みに合う作品を見つける楽しさがそこにあるわけですが、ここで やちむんの “そもそも” をいま一度押さえておきませんか?
楽しむポイントが更に増えるかもしれません。
また、インターネットで購入する際の参考にもなるかも(?)です!

そもそもやちむんって?

ザックリ解説

やちむんの歴史は琉球史とともにあり、語り出すと長くなってしまうので、大まかなポイントのみを解説します。

  • 400年位以上の歴史がある
  • 陶器 (原料が土)でできている
  • 日本国内の陶器作りでも珍しいほど、ほとんどの工程が手作り
  • 素焼きをせずに本焼きのみで焼き上げる(一度しか焼かない)ものが多い
  • 伸びやかで大らかな柄のものが多い
  • 厚みがありぽってりしており、深みのある形状のものが多い
    ⇒ 汁気の多い沖縄の料理に合わせているため
  • 柄の描き方、染付け方法の技法が沢山ある
    ⇒ 琉球王朝時代の貿易文化の影響で、中国や朝鮮、台湾、アジア各国の影響を受けているため

実用的なコト + 一枚の器がくれる優しい時間

最近は様々な形状の器が増えてるのですが、丸皿は深みのあるタイプが多く、浅く平らな器は まだまだ少ないです。
つまりは、変形タイプで気になる器を見つけたら、まさに「出会いもの」。
迷わずGETしましょう。

また、電子レンジや食洗機に不向きな器が多いと思っておいた方が良いです。
購入前に確認することをオススメします。

「え…何それ!?面倒!」

という声が聞こえてきそうですが、そんなことは言わずに…(笑)
一枚の器を大切に使うことで、自分を労ってあげているような、優しい時間が生まれるはずです。

どこで買えるの?

バリエーション豊富なショップのご紹介 中目黒『58』

(中目黒駅から徒歩5分、桜で有名な目黒川沿いです。)

東急東横線・東京メトロ日比谷線 中目黒駅近くに店を構える『58』。
北窯.com というサイトでオンラインショップも展開されていて、やちむん好きの方ならピン!とくるかと思いますが、「読谷山焼 北窯」の4人の親方とそのお弟子さんの作品が、取扱いアイテムの中心です。

オーナーの三宅敬(みやけ たかし)さんに話を伺いました。
三宅さんは以前アメリカ家具の会社にいらしたそうですが、16〜17年ほど前に、アメリカ文化色がありながら昔ながらの器(やちむん)のある生活をしている沖縄に魅せられ、アメリカンインテリアにやちむんを組み合わせるプレゼンテーションを手掛けたのがきっかけだったとのこと。

徐々に北窯の方々との仲を深め、今では家族のようなお付き合いをされており、独立してお店を開業する時に「北窯」の名前をお借りする許可をいただいたのだとか。
「58」の店内は天井までぎっしりと作品で埋まっていて、その数の多さに、作家さん達との信頼関係の濃さが見て取れます。

点数の多さ=「見て触って、しっくりくるものを選べる」という贅沢

やちむんは殆どの工程が手作業ですから、同じサイズ・同じ図柄のものであっても、少しずつ雰囲気が違ってきます。
ですから、こちらのお店は、目移りしつつ手に取りながら「何度も比べて選ぶ楽しさを味わえるお店」ということになります。

コロナ禍にあっても精力的に沖縄の窯元を訪問し、買い付けに余念がない三宅さんですが、最近は沖縄で修行し、日本各地で窯を開いた作家さんにも注目しているとのこと。
沖縄らしさとそれぞれの土地の融合で生まれる器が増えていくのも、興味深いところです。

(左: 西持田窯@島根県松江市、右: 中ノ畑窯@大阪府高槻市)

現在「58」では、群馬県太田市にある「強戸窯」(ごうどがま)のフェアを開催中。
陶主の島村憲市さんは、読谷山焼北窯・松田共司工房のご出身です。
(画像をクリックすると、Instagramにリンクします)

※ フェアは2020/11/23まで、強戸窯の作品は常時販売。

ネットショップおすすめ4選+α

ここで、ネット販売が充実したお店を幾つか。
先ほども述べましたが、手作りゆえ一点一点風合いが異なります。
「画面で見たものとの印象が違う!」とならないよう注意書きをしっかり読むことも、ネット購入のポイントです。

また、セレクトショップのBEAMSが、日本各地の民藝にも力を入れていることをご存知でしょうか?
やちむんとも20年以上の関わりがあるそうで、BEAMSならではの世界観で魅力を伝えています。

fennica things 沖縄とやちむん

ネット販売もされていますので、併せてどうぞ。

どうやって使いこなす?

和洋中なんでも合わせてみる

(左上: 22cmオーバル/左下: 豆皿いろいろ/中: 五寸皿/右: 七寸皿)

生活に馴染んでこその器ですから、大事にしまっておくのはもったいない。
普段の食卓にどんどん出していきましょう。
やちむんはダイナミックで個性的な絵柄のものも多いですが、意外と合わせやすく、そして料理を引き立ててくれます。

七寸皿(約21cm)はサラダ、カレー、パスタ、何でもOK。
アジア系の料理もよく映えますし、器に深みがある分、麻婆豆腐や酢豚といった汁気のある中華料理も盛りやすいです。
五寸皿(約15cm)は取り分け皿やスイーツ皿として活躍の場が広いですし、豆皿(10cm前後)は一枚ずつ増やしながら組み合わせて使う楽しさがあります。

お手入れについて

永く綺麗に使うための秘訣は、最初の「目止め」です。
陶器の表面には目に見えない無数の凸凹があり、そこに調味料や油などが入り込んでシミになったり取れない臭いになったりします。
器を使い始める前に、米の研ぎ汁などデンプン質のもので この凸凹を埋める作業が「目止め」、方法についてはコチラをご参照ください。
少々面倒ではありますが「さらに愛着が増すこと間違いなし!」の工程です。

目止めなんて面倒!という方は、そのままお使いください。
ただし、器の性質上 油分や水分を吸いやすいので、つけ置きせずに直ぐに洗いましょう。

ま、シミも含めて愛着が湧いて来るのも、やちむんの良さかもしれません。

まとめ

  1. やちむんの “そもそも” がわかれば、選び方のコツがわかる! 選ぶ楽しさが増える!
  2. どんどん進化するやちむん、トレンドをウォッチしていくのも面白いかも?
  3. 色んな料理に合わせていこう!
  4. お手入れはした方がいいけど、できる範囲で気張らずに。
  5. 一枚の器が、心をちょっと豊かにしてくれる。

最後までお読みいただき有難うございました!
まだまだ落ち着かない日が続きますが、やちむんが生活の彩りとなり、おうちごはんが楽しくなりますように。